さっき、サンボ(飼い猫)が死んだと実家から電話があった。
そうかぁ、という感じだった。
西宮の苦楽園で暮らしてたころ、道端にいたのを見つけたのが出逢いだった。
僕は以前も猫を飼っていたから世話の大変さ、何より命、かわいいだけじゃない、責任をもてるのか、亡くした喪失感も大きいから飼うのはやめようと言ったんだけど、「飼いたい!」って聞かないもんだから、ペット禁止のマンションに連れて帰った。
それからおよそ4年の間に、僕らも引っ越したり別れたり。
東京へ行こうと決心したはいいけど、仕事はアニメーター。生活の貧しさと不規則さはすでに経験済み。実家で面倒をみてもらうように頼んだ。
上京してから初めて帰郷したときに母親が言った。
「サンボなぁ、あんたが帰ってくるの玄関で待ってやんねん。もう帰ってけぇへんよっていうてもじーっと待ってやんねん」
「寝るときもなぁ、あんたの匂いがするんか、置いていったコートの上で寝てんのよ」
僕はひどいことをした。自分たちの都合で外には出さないようにし、去勢もした。あの子に最初に言った責任も放棄してしまった。
サンボは僕の顔を見て逃げるようになっていた。でも、これでいいと想った。年に1回の帰郷で2~3日しか触れ合わない。こんな勝手な人間は早く忘れてもらったほうがいいと。そうしてくれるほうが僕のほうも心が軽くなると想った。
だからこっちからはなるべく触らないようにした。だって優しくして思い出されたりしたら、また裏切るようになってしまうから。
2年前に犬歯が1本抜けた。去年は階段から落ちた。そのときに脚をひねったのか、前足が少し曲がったままだ。12月頃からおなかの辺りの毛が抜け、床ずれのように皮膚が切れて出血、全身麻酔をすると目を覚まさなくなる危険があるから縫合はせず、腹巻をしていた。
電話で母親が「2月にあんたと会えてよかったわ」と言ったのを聞いて、あぁ、トイレの神様の唄みたいやなぁ、待っててくれたんかなぁ、と、これまた都合のいいことを想ってしまった。
「ここ2,3日ごはんも食べれんようになって、点滴うけてたんよ。それで今日も受けにいく日ぃやから様子見にいったら…。それが7時半くらいやけど、たぶん明け方ちゃうかなぁ」
「あのさ、今朝方の夢に猫が出てきたんよ。おなかになんか乗ってる感じもして。色が白か黒かはっきりせぇへんかってんけど、白やったらミミやなぁ。黒やったらサンボかなぁ。でも電話ないからミミかなぁって思ててん」
「あんたも仕事やからな、朝はやめようおもて。晩に電話しようっておもてん。サンボ、あんたに会いにいったんやわ」
実家で暮らして16年。僕と関わった時間は4年くらい。
知らない間に僕の年齢を追い越し、両親までも追い抜いて、家族で一番の高齢になっていた。人間に換算すると98歳くらいらしい。大往生だね。
目もしっかりしてたし、おむつもつけず、自分の脚でトイレにもいっていた。かがんでごはんを食べたりするのがしんどいのか、手のひらから水を飲んでいた。
うまくまとまらないのでこの辺で。
ごはんをねだるとき、すねに頭やからだを押し付ける感触、ヘアゴムが大好きで、しがんだり追いかけたりしてた姿は忘れられない。
あしたお葬式だと言ってた。いい写真もあるそうだ。
僕のかわりにお世話をしてくれた両親にありがとう。サンボありがとう。ごめんね。
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